能ガキブログ

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なかのZERO新春能で「船辨慶」を鑑賞

先日1月21日(日)に、なかのZEROで開催された新春能「船辨慶」を、私よりも能楽初心者の友人に誘われて観に行きました。3回目の能楽鑑賞になります。

今回は能楽堂ではなく、一般的なステージで開催されたので、ステージ上に能楽堂風のセットが展開されていました。この新春能は毎年恒例のイベントのようで、狂言にはあの有名な野村萬斎さんが出演されていました。

演目は

  1. 素謡「神歌(かみうた)」小島英明
  2. 狂言「成上り(なりあがり)」野村萬斎
  3. 「船辨慶(ふなべんけい)」小島英明

2番と3番の間に「船辨慶」の解説が入りました。通常は1番の後に解説が入るようですが、今回は野村萬斎さんのスケジュールの関係でズレ込んだと、解説で仰っていました。

「神歌」とは

能の演目の中には「能にして能にあらず」と言われる、儀式性が高い別格の1曲があります。それを「翁」といい、どのカテゴリにも属さず、ストーリーもありません。天下泰平や五穀豊穣を祈るための舞が舞われる曲で、正月の祝賀能などで冒頭に上演されます。

その「翁」を素謡(すうたい)形式で上演する場合に「神歌」と呼ぶようです。因みに素謡とは、囃子や舞を伴わずに、謡曲だけを歌う形式になります。

本公演では、1番目の「神歌」がとても印象的でした。「船辨慶」シテの小島英明さんが「翁」として数人の役者を伴い、袴姿で舞台上で謡われました。詞章に意味がなく訳のわからない呪文のような謡曲だったのですが、歌声がとても伸びやかで力強く心に響きました。また気持ち良くもあり寝落ちしそうになりました。「翁」を勤める役者は、上演前に一定期間、精進潔斎の生活を送り、心と体を整えて舞台に臨むようです。お陰様で、しっかり祈祷効果が得られたように思いました。パワスポよりもいいかもです。笑